土曜日の午後は H2Oサンタ チャリティートークイベント<NPO法人弱視の子どもたちに絵本を>を開催しました!
2025.03.07本日のチャリティートークイベントは、「NPO法人弱視の子どもたちに絵本を」の理事の田中 加津代さんをお迎えして、お話をお伺いしました。
“弱視”とは、医学的に視力が〇〇以下という定義はなく「視力の発達が障害されておきた低視力」という意味で、メガネをかけたり視力を矯正しても見えない文字があったり、教科書の文字が見づらかったり、視野が狭い、などの状態にあることだそうです。日本には弱視などの視覚障害の方は、約30万人いるそうです。
NPO法人弱視のこどもたちに絵本を、では、そういった状況で困っているこどもたちの支援をしています。事務局は吹田にあり、2010年にNPOを立ち上げて今年で15年目になるそうです。団体では弱視のこどもを対象に、さわる絵本や点字本、点字カルタなど、こどもたちが楽しみながらさまざまな情報を理解できるツールを作成し、提供されています。この「さわる絵本」は、毛糸やフェルトなどさまざまな素材を使用して絵本に登場する動物などの形を表現し、立体的に作られていて、さわって絵本を読む(感じる)ことができます。これらの本は、お店では売っておらず、すべてボランティアさんの手づくり。みんなのアイディアで出来上がっているそうです。
最近では、学校の授業でもスマホやタブレットなどのICT(情報通信技術)を活用した新しい読書が取り入れられています。視覚障害のこどもたちは、文字や絵の拡大も画面で簡単に操作でき、さらに自分に合った読みやすい色に変換することもできるようになりました。情報技術の発達で授業も大変分かりやすくなり、勉強が楽しくなるそうです。
自然探検をはじめ、ゲームなどさまざまなイベントを実施し、交流を重ねることで、同じ境遇のこども同士が出会う機会作りも行っています。例えば、タンデムサイクルでは、パラサイクルスポーツ連盟の方と一緒に自転車に乗って風を楽しんだり、親子で芋掘り体験やガムランの音色を楽しんだりしています。そこは、保護者同士が相談しあえる時間にもなっているそうです。また、団体では点字のワークショップなどにも積極的に取り組んでおられます。
トークイベントでは、田中さんから街で視覚障害者の方が困っている時にどのように支援ができるのかについてもお話いただきました。視覚障害のこどもたちは、中学生になってもなかなか一人では外出が難しいそうです。例えば、
- 【信号】信号の色が見えません
- 【駅】ホームから落ちそうです
- 【トイレ】どの個室が空いているのか?洗面台の場所も分かりません
こどもたちの単独歩行をしたいという想いを応援するために、街で視覚障害者の方が困っていたら「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけ、少しの間、目と手を貸してあげてくださいとのことです。歩きやすいように並んで歩いたり、段差や階段がある所では直前で止まって、声をかけて知らせることで視覚障害者の方はとても助かるそうです。
今回も「さわる絵本」の実物を持ち込んでいただきました。どれも立体的に工夫されており、こどもたちが触って楽しめる絵本になっているのがよく分かりました。こういった「さわる絵本」の認知が高まり、学校や図書館、書店をはじめ、いろいろな場所で必要としている方がいつでも見られるようになればいいですね。
最後に、田中さんから「さわる絵本」や「さわる図鑑」「立体地図」などはすべて手作りなので、お手伝いをしてくれるボランティアさんがいればとても助かると仰っていました。特技がなくても大丈夫だそうです。手先が器用ということではなくても、パソコンで文字を入力していただくことなど、お手伝いしてもらいたいことはたくさんあるそうです。ある70代のボランティアの方が大阪府と大阪市の地図を作ってくださって、それに触れた20代の男性が自分が住んでいたのは大阪市の何区と何区か分かったと喜ばれたそうです。もし興味を持たれた方は、ぜひ団体HPからお問い合わせをお願いします。
今回も、こどもたちが楽しく学べるHANKYUこどもカレッジ企画と連動して、チャリティートークイベントを聞けば答えが分かるNPOクイズを実施し、正解の方にはH2Oサンタオリジナルクリアファイルをプレゼントしました。トークイベント終了後は、実際にさわる絵本を触っていただき、作るときの話を興味深く聞いていかれるお客様がたくさんいらっしゃいました。
絵本の輪が広がるといいですね。