土曜日の午後はH2Oサンタ チャリティートークイベント<NPO法人サイレントボイス>を開催しました!
2025.05.31本日、阪急うめだ本店9階祝祭広場で行われましたチャリティートークイベントは、NPO法人サイレントボイスの日下さんにお越しいただき、お話を伺いました。
NPO法人サイレントボイスは、大阪市の谷町六丁目を拠点として、2016年の設立以来、聴覚に障害を持つこどもたちの居場所作りに取り組んでいます。
厚生労働省の調査によれば、聴覚障害児は、約1,000人に1人の割合で存在するとされています。そのため、こどもたちは地域で自分に合った教育を受ける機会に恵まれないことも少なくありません。
さらに、身近に同じ境遇のこどもがいないため、幼いこどもの中には、自分だけが音のない世界で生きていると感じてしまう子もいます。聴覚障害児向けの支援施設も十分ではなく、近隣に通える場所が限られているという課題もあります。
また、聴覚障害に対する社会の理解がまだ十分とは言えないため、こどもたちは日常生活の中でコミュニケーションの困難を抱えることもあります。
その様な状況の中、NPO法人サイレントボイスでは、耳が聞こえない・聞こえにくい子どもたちへの教育事業を行っています。事業のひとつとして、ろう児、難聴児やその保護者が対象の総合学習塾「デフアカデミー」という放課後に集まる居場所づくりを運営しています。ここでは、遊びを取り入れた集団授業やイベントを実施し、こどもたちがコミュニケーションの壁を超えて、自分らしさを感じ、こどもたち自身が夢を叶えていくための教育を提供しています。最初は大人しかったこどもたちも、だんだん慣れてきて、エネルギッシュになっていく様子を感じられるそうです。
そしてこの団体では、日本全国各地に住むこどもたちにも、オンラインで手話のできる先生や仲間とつながり、学べる場を広く提供することを目的として、「サークルオー」というオンライン学習塾を運営しています。本日お話を伺った日下さんは、この「サークルオー」の責任者をされています。
人口の多い都市部以外の地域では、ろう・難聴児への支援が十分に行き届いていないため、こどもたちは放課後に居場所を見つけられず、孤立しがちになるという課題があります。
「サークルオー」では、そうしたこどもたちのために、手話のできる先生と全国のろう・難聴児と週2回程度のオンライン授業を行っています。このサービスにより、遠方に住むこどもたちも教室へ通う負担なく、手話で学び、友達やさまざまな人々とつながる機会を得ることができます。
現在では、日本国内のみならず、アメリカからも時差の壁を乗り越えて参加するこどもたちがいるそうです!
こどもたちにとって、人との出会いは世界を広げる大きなチャンスです。サークルオーは考え方や行動のお手本となる人たちとの出会いの場をつくる機会にもなっています。ろう児や難聴児がサークルオーを通じてたくさんの人と出会い、様々な刺激を受け、何か新しいことにチャレンジしようとするきっかけになっているそうです。
本日は、日下さんから手話についてのお話も伺いました。
一言で手話といっても、さまざまな種類があるそうです。日本国内だけでなく世界に目を向けると、文化の違いがあるように、手話にも地域による違い(方言)があるとのこと。例えば「仕事」という手話表現は、地域によって異なります。関西、特に大阪では、かつて印刷業が盛んだったため書類を整える動作で表現するのに対し、自動車産業が盛んな愛知県では、左右のこぶしを上下に合わせる「プレス機」のような動作で表現するそうです。このように、地域の文化や習慣の違いが、手話表現の違いにもつながっているのですね。
日下さんによると、かつては高校を卒業した聴覚障害者の多くが製造業に就くのが一般的だった時代がありました。そのため、それぞれの地域に根付いた職業が、手話の方言として表現に反映されていたと考えられるそうです。
NPO法人サイレントボイスの活動は、まさにこうした背景も原動力の一つとし、耳が聞こえないこどもたちが将来、様々な仕事を選べるようになるための教育を目指されています。
一般の方々からすると、NPO活動をされている方はどのような経緯で現在に至ったのか?という疑問をお持ちのことが多いので、日下さんにサイレントボイスに参加することになったきっかけも伺ってみました。
日下さんは元々、言語に興味があったそうです。手話も言語の一つとして捉え、大学時代にサークルで学んだところ、その魅力にすっかり「ドハマりした」そうです。そして、アルバイトとしてサイレントボイスで活動を始められました。
大学卒業後、一度は外資系のホテルに就職したものの、「ここでは本当に自分がやりたいことはできない、世界をかえることができない!」と感じたそうです。そして、ホテルを退職。かつて活動したサイレントボイスに戻り、現在に至る、とのことでした。
最後に、日下さんはこう語ってくださいました。 「一般的に、耳が聞こえないことを障害と捉える方々からは、『かわいそう』と思われるかもしれません。でも、こどもたちはみんな元気いっぱいです。だからこそ、成長の機会さえあれば、彼らも社会の役に立つことができるのです。少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ、こどもたちの笑顔を見に来てください。大阪にお住まいの方なら、プログラムのお手伝いなどで関わっていただけると、とっても嬉しいです!」
サイレントボイスのHPは➡こちら
今回も、こどもたちが楽しく学べるHANKYUこどもカレッジ企画と連動して、チャリティートークイベントを聞けば答えがわかるNPOクイズを実施し、正解の方にはH2Oサンタオリジナルクリアファイルをプレゼントしました。
本日もご来場いただき、ありがとうございました。