土曜日の午後はH2Oサンタ チャリティートークイベント<一般社団法人ニュールック(new-look)>を開催しました!
2025.06.07本日、阪急うめだ本店 9階祝祭広場で行われましたチャリティートークイベントは、一般社団法人ニュールック(new-look)代表理事の山口さんにご来場いただき、日頃の活動についてお話を伺いました。
一般社団法人ニュールック(new-look)は、引きこもりや不登校、非行、経済的な事情など、さまざまな理由により高校を中退したり、高等教育を受けることができなかったりした経験を持つ青少年や、その可能性のある青少年たちを対象に進学や就労などの支援を行い、社会復帰をサポートしている団体です。
2013年5月に兵庫県西宮市で活動を開始し、現在は主な拠点を奈良市に移して活動を続けています。
現在、こどもの数は減っているにもかかわらず、高校を中退するこどもの割合は増えているといわれています。不登校や高校中退に至る理由はさまざまです。例えば、友人や先輩・後輩との人間関係の悩み、家庭の経済的な事情、学業不振など、多くのケースがあります。中には、中退後の人生に不安を感じ、自暴自棄になったり非行に走ってしまったりするこどもも少なくありません。
代表理事の山口さんによると、new-lookが設立された10数年前は、世の中に「中退したら人生終わり」という風潮が根強くあったといいます。
中退というだけで十分な情報を得られなかったり、あるいは得ること自体を諦めてしまったりして、自ら「自分はダメだ」と決めつけてしまう。その結果、限られた選択肢しかなく、まさに「人生終わり」と言われるような道に進んでしまう若者が大勢いました。
それから10数年が経ち、状況は変化しました。不登校の生徒数は増加する一方、通信制高校が一般化したことで、高校を中退する人の数は大きく減少しました。こうした現状を踏まえ、new-lookでは「高校中退」や「不登校」を活動の主眼に置きつつも、その対象を限定しない方針を掲げています。様々な背景を持つ人々が混ざり合い、その中でお互いに学び合う形が望ましいのではないかと考えているからです。
山口さんは、「設立から10数年の経験を通して、new-lookにできることの幅はかなり広がりました。この知見を最大限に活用し、『高校中退』や『不登校』という課題に限らず、地域や社会にとって意味のある場所を作っていきたいです」と語っています。
new-lookでは、様々な事情を抱える若者が次の一歩を踏み出しやすくなるよう、進路相談や高校卒業資格を取得するためのお手伝いをしています。
特に、この活動のきっかけともなったのが、「高卒認定資格」の認知度の低さでした。「そもそも、そんな資格があることを知らない」という若者が多いと知ったことから、「届ける情報は形を変えて、広く種まきをした方が良い」と考え、YouTubeチャンネル「new-lookちゃんねる」での情報発信を始めました。
現在の活動を始めたきっかけを伺うと、それは代表理事である山口さんご自身の高校中退経験が原点にあるそうです。
山口さんが高校生だった当時は、「高校中退は落ちこぼれ」というような風潮が強い時代でした。しかし、そうした逆風の中でも、山口さんはご自身のやりたいことを見つけるために大学へ進学し、一度は教師の道に進みます。
数年後、教員として学校を中退していく若者たちと向き合う中で、ある思いが芽生えます。「学校教育はシステムとして確立されており、自分以外にも素晴らしい先生方がいる。その役目はその方々に託し、自分は学校という枠の外から、違う形で若者たちを支援できないだろうか」。その思いが、現在の活動のスタート地点となりました。
活動の初期は、まさに手探りだったといいます。街の商業施設や駅前、夜のコンビニの前などにいるこどもたちに、「周りに高校辞めた人おらん?」と、とても気さくに声をかけ、悩みを抱えるこどもたちの相談に乗ることから始めました。
ある時、知り合いのラウンジのオーナーから「うちで働いている子に、高校卒業認定取らしたってよ」と相談を受けます。自分に何ができるかを考えた山口さんは、そのこにこう提案したそうです。「いつもより2時間早くお店に来て、一緒に1時間半勉強しよう。残りの30分は、一緒にお店の開店準備をしよう」。
高校卒業認定は、挑戦する前から「自分には難しい」と高いハードルを感じて諦めてしまうこどもたちも少なくありません。山口さんたちは、そうしたこどもたちが諦めてしまう前に、まず「学んでみる」という機会そのものを作っています。
最後に、代表の山口さんから読者の皆様へメッセージをいただきました。
もし、みなさまの周りに、不登校や高校中退が原因で、将来に漠然とした不安を感じている方がいたら、ぜひ私たちのことを教えてあげてください。「相談だけ」でも、まったく問題ありません。new-lookには、悩み事をかかえる若者と同じような経験を持つスタッフがいますので、安心して話してください。私たちは「中退」や「不登校」という枠で区切るのではなく、「今の状態から学びたい」と願うすべての人の相談に乗ります。かつて、不登校や中退は特別なこととして見られがちでしたが、今や生徒の10%以上が不登校を経験するといわれる時代です。決して珍しいことではありません。私たちは、学びたいと願う誰もが、いつでも学べる場所でありたいと願っています。この記事を読んでくださった皆様、もしよろしければ、私たちの活動を一人でも多くのご友人や知人の方に広めていただけると、とても嬉しいです。若者たちが将来に夢を持ち、彼らを支える多様なつながりが社会にさらに広がっていく、そんな未来を期待したいですね。
【一般社団法人ニュールック(new-look)HP】はこちら
今回も、こどもたちが楽しく学べる「HANKYUこどもカレッジ」の企画と連動し、トークセッションを聞けば答えがわかる「NPOクイズ」を実施し、正解された方へH2Oサンタのオリジナルクリアファイルをプレゼントしました。
トークイベント後には、「友人に不登校のお子さんがいて、どう接すれば良いか悩んでいましたが、今日のお話を聞けて大変参考になりました」といった、嬉しいお声も頂戴しました。
本日もご来場いただき、誠にありがとうございました。